羽毛らしさを考える
アメリカコハクチョウ(1827)
「アメリカの鳥類」(1827)より
ロバート・ハヴル 作
ラスキン・ギャラリー(イギリス)所蔵
19世紀の鳥類図鑑の
1ページです
写真が普及する前のことですので
手書きの絵を元にした
銅版画作品です
図鑑ですので
とても正確に
羽の一枚一枚まで描かれています
鳥の種類を見分け
研究するための書物ですが
本物さながらの再現性で
しかもとても美しいです
今となっては
美術品としての価値も
あるものです
ですので
鳥を表現する際の
いい参考になります
どんな風に描かれているか
ゆっくり見てみましょう
*
哺乳類が全身
細い毛で覆われていたように
鳥はほぼ全身を
羽で覆われています
鳥の羽は哺乳類の毛と違って
1枚1枚が面になっています
ですので体を曲げると
こんな感じで羽が逆立ちます
これは
ルリコンゴウインコという
全長1メートルくらいある
大型の鳥です
ですので
羽も硬く大きくて
ウロコというか何というか
まるで松かさのようですね
本物はもう少し柔らかい羽で
ここまでバリバリではないので
ちょっと大げさに描かれていますが
鳥の羽の実態をよく表していると思います
1枚ずつが少しずつ
位置がずれて生えているので
重なり合っているところに
影ができていますね
羽が立っているところと
寝ているところでは
影の大きさも違っていますね
*
こちらは
ベニコンゴウインコ
これもまたご立派な羽です
先ほどのルリコンゴウインコほど
羽は逆立っていませんが
それでも重なり合ったところに
影ができていますね
そしてここで注目してほしいのは
羽1枚1枚が内側に湾曲しているところ
鳥の羽は
生えている部分によって
かなり形が違うのですが
トータル的にこういう形だと思います
中心に芯軸があって
体の内側に向かって
全体的にちょっとカールしています
そして生え際に向かっては
ふわふわの綿毛がついています
1枚ずつの作りが
このようになっているので
ウロコのようにというか
内側の綿毛効果もあって
ウロコ以上にモコモコしているのです
なので
コンゴウインコのような
大型の鳥でなくても
そのモコモコ感は
何となくでもちょっとあるものです
こんなふうに
ベニフウチョウです
この図版も
表現がちょっと大げさですが
現物や写真よりわかりやすいと思います
羽の1枚1枚が
とても立体的に見えますね
*
羽1枚1枚は
遠目で見るとわからないし
近くで見てもツンとすまして立っていると
羽が寝てしまうのであまりわからないし
小さな小鳥だったら
なおさらそんなのは見えないのですが
それでも構造としては
このようになっている
ということがイメージできているだけで
仕上がりの雰囲気は違ってくるはずです
哺乳類の表現の時に
毛の下の筋肉や骨をイメージしたように
鳥の表現の時にはさらに
見えなくてもこの重なり合った
カールしたふわふわの羽毛を
イメージしてみてください
ということで
本日の課題は
「アメリカコハクチョウ」です
ダウンロードは
こちらから
↓
アメリカコハクチョウ作成シート
*本日の課題作成見本*
1. 左上の空欄に使用画材の商品名とメーカー名を記入。
2. 好きな画材で着色してください。ただし「鳥類図譜」の
模写として彩色してください。
3. 感想欄にうまくいったところ、うまくいかなかったとこ
ころなど記入してください。