高校生になったとき
どきどきしながら図書室にはいったけど
さすがに高校の図書室には絵本はなかった
しかし幸運にも学校の帰り道に
図書館があった
いつもはクラブ活動で遅くなり
そばを通るときは閉館しているけど
定期テストの時期になり
空が明るい時間に通ると
図書館が開いていた
もしかしたら…
気持ちが高まり
駐輪場まで歩めない
自転車をそのまま路上に止めて
運動会でもないのに
走って入場
ゴールの先には
子どもたちと母さん
腰の高さまでのちいさな本棚の前で
しゃがんで本を選んでいる
絵本がある!
小さな子どもとお母さんたちにまざり
制服を着て学生かばんをかかえた大きなわたしは
書棚の前にしゃがみこんだ
ある!ある!ある!
いままで見たこともない大量の絵本の数々!
わたしはまたかたっぱしから開いては眺めはじめた
そしてとうとう見つけた!
エロール・ル・カインの作品
「いばらひめ」
これを見なければはじまらない!
いつも小学校でやっていたように
図書室での絵本鑑賞は
この本から!
気のすむまで眺めてから
さらにまた次から次へと
めくりはじめる
そしてまた見つけた!
背表紙からのいい香り
今度はもう驚かない
これよ、これ、これ
ゆっくりと本を引き出すと
思ったとおり彼の作品
ちらりと中を見てすぐに閉じ
そのまま貸し出しカウンターへ向かった
これは家に帰ってから
じっくり眺めよう
外はもう真っ暗になっていた
今日は試験勉強どころではない