パラダイス*第74話 透明水彩と色鉛筆によるスケッチ添削中

11月25日 にちようび 晴れ
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まんが教室 生徒さま作品を添削中

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課題31 水彩絵の具のグラデーション
課題34 色のついた紙でするスケッチ

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課題があがってきて
正直ドッキリしました

なんでかって
そりゃあもう

素敵だったからです

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わたくしここで
白状するけど

ずっと美術畑で
学生時代も
就職してからも

いつも成績は悪くなかったけど
はっきり言って
成績はよかったんですけど

作品自体は
あんまり良くないという
定評でした

これ、どういう意味か
わかるかな?

つまり
その…

きみ、上手いけど
しらけた作品を作るね

といつも言われていた

まあ
それはそれで
就職してからも
使い道はあった

センスのいいデザイナーの描いた
イラストの形の狂いや
遠近感の修正だけを

お客様の要望にあわせてする
というヘンな担当だった

一番たくさんやったのは
指の形の修正だけというヤツ

アホみたいに
毎日いっぱい
その部分だけ修正した

内心こんなにヘタな絵
大量作成するなよと思ったけど
そのイラストはすごい売れていた

そしてわたくしには
決してオリジナルは
描かせてもらえなかったのです

その理由は
絵がしらけているから
ということらしかった

あと
センスが古いという
敵対的な意見もあった

そんなことは
さておいて

現代における
芸術としての
絵画の役割とか意味って
何だと思います?

まあ
根源的なことは
今も昔もかわっていないけど

どうして
わたしたちが
絵を描くのか?
ということなんだけど

それは
感動を伝えること

太古の穴ぐらで
木炭や色のついたやわらかい石で
動物の絵を描いたのは

食べたお肉が
すばらしく美味しかったことを

何万年もの時を経て
今に伝えていると思う

美味しかったのは
こんな形でこんな色の
こんな走り方する
こんなヤツなんだ

それってウシか!

ってなかんじ。

そこには
また明日も狩猟に成功して
おいしいお肉が食べたいな
だからコイツを狩ろうぜ!

という願望が
はいっているかな?

そうやって
次の狩りの対象動物を
お知らせしあっていたのだと思う

たいして美味しくない
捕りたくない動物は

あえて伝える必要もないので
描くこともなかったと思う

そういう基本的な行動は
今もかわっていないと思う

感動を伝えること

伝えたいことがなければ
描かないと思う

そしてその
伝えるという手法なんだけど

むかしむかしは
焚き火の跡に残った木炭や
固い岩にこすったら色が付着する
やわらかい素材の色つき石で

固い岩穴の壁面に
描くしかなかったけど

今はスマホの写メで事足りる

写真のない時代は
正確に伝えるために
画家と呼ばれる職人が

本物そっくりに
色形を描写する必要があったけど

もはやそんなことは必要なく
モノの形や色を正確に伝えるのは
写真にさせればいい話

となると
絵の役割は
純粋に感動を伝えることのみ

そうすると
色も形も関係ないのでは?

めっちゃ
好きに描きなぐったら
いいじゃんか!?

という
究極の領域に到達した

おいしいステーキを食べて
感動したら

お肉の形を描いて
美味しそうな茶色で
色をつけるのではなく

もちろんそうして
伝えてもいいけど

めっちゃ美味しくて
しあわせな気分を

「ステーキ」と題して
画面いっぱい七色のグラデーション
だけで表現してもいい
というワケ

だから
20世紀以降の美術では
抽象絵画というのが
主流になっている

何かモノ(体験)を見て
そのモノ(体験)に感動したからといって
伝えるモノ(絵画)の形や色が
そのモノ(体験)と同じ必要はない
というワケね

まあね
一応ここは
まんが教室
(具象画専科)だし

課題34は
色のついた紙に
色のついた鉛筆で
詳細画を描く(デッサンする)

という内容だったので
基本デッサンという基準で
素材感の出し方など
ひととおりの添削はしますけど

この作品は
このままが素晴しいので
修正の必要はありません

それは
この絵から
描いているときの
感動が伝わってくるから

わたくしなんかの
意見を入れると
このときの純粋な気持が
濁ってしまいますわ

しらけるわよ(笑)

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ね、素敵ですよね
この明るい色や光

好きな気持ちが
伝わってくるよ

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*生徒作品 本日の画材*
画用紙
透明水彩
油性色鉛筆

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